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ふくしま浜街道トレイル③

ふくしま浜街道トレイルは2023年9月30日に開通した福島県新地町からいわき市までの約200kmを1本に繋ぐロングトレイル。

雄大な海を眺めながら、阿武隈山系に育まれた豊かな自然や地域の歴史、文化に触れることができます。また、東日本大震災や原発事故を永く語り継ぎ、見届けていく「伝承の道」でもあります。

当協会の佐藤理事が全行程を数回に分けて歩く、セクショントレッキングを実施。

俳人でもある佐藤理事の一句もお届けします。


Vol.1最終日の3日目は三崎公園から四ツ倉までを歩きました。

2024年11月20日

Vol.1 Day3

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レポート

07:00 ホテル最寄りのいわき駅からバスで移動


08:30 トレッキング開始

 三崎公園から海岸線に下り、しばらく歩くと江名の港が広がる。かつてこの町にも津波が押し寄せ、大きな被害をもたらしたという。今は何もなかったかのように美しい港町に生まれ変わっているが、その背後には確かにあの日の記憶が横たわっている。高台に建つ江名諏訪神社は、当時、避難場所となったのだろうか。静かな境内に立ち、しばし思いを巡らせる。


江名漁港
江名漁港

 やがて豊間(ほうま)海岸に出る。ここも先日の勿来から岩間海岸に至る海岸線と同じく、高さ約10mの防災緑地が築かれ、その上に遊歩道が延びている。塩屋崎を目指し、波音を聞きながらひたすら歩く。大きな空の下、冬の光を受けた海がきらめいている。


豊間防災緑地
豊間防災緑地

沖海ではサーファーが光り輝く海面を滑走している。海から上がってきたサーファーに寒くないかと尋ねると、「海はぬるいよ。外気のほうが海よりも寒いですよ」と笑う。海水温度が高いのだろう。左手の陸側には新築の家々が並び、復興の歩みを感じさせる。時折、「いわき七浜海道」の案内板が表れ、休憩所やトイレの表示が心強い。


11:30 塩屋崎

 三時間ほど歩いて、塩屋崎に到着した。

岬の突端に、白亜の灯台が凛と立つ。1899年開業の歴史ある灯台である。「日本の灯台50選」にも選ばれており、地元では「豊間の灯台」と親しまれ、常磐沖を行き交う船を、いまも変わらず見守り続けている


塩屋崎灯台と灯台からの景色
塩屋崎灯台と灯台からの景色

 昭和31年、小名浜在住の灯台守の妻が書いた「海を守る夫と共に20年」という手記が女性雑誌に掲載され、これに心を打たれた木下恵介監督により「喜びも悲しみも幾歳月」という映画が1957年に公開された。当時、主題歌とともに大ヒットし、灯台は全国にその名を知られることとなった。

灯台から降りてきた右側には、雲雀乃苑があり、昭和を代表する歌手 美空ひばりを顕彰する碑や像が建つ。歌碑の前に立つとヒット曲の「みだれ髪」が静かに流れ、海風とともに昭和の記憶がよみがえる。


雲雀乃苑と「喜びも悲しみも幾歳月」記念碑
雲雀乃苑と「喜びも悲しみも幾歳月」記念碑

 灯台近くのお土産物屋で、鈴木姫花(ひめか)さんの絵がデザインされたハンカチを購入した。

実は、姫花さんは灯台の近くに住み、絵を描くことが好きだった少女である。将来はデザイナーになるのが夢だったが、10歳のときに東日本大震災の津波により命を落とした。ハンカチに描かれた灯台の絵は、9歳のときに灯台絵画コンクールで入賞した作品だという。震災後、その夢を形にしようと京都のグラフィック・デザイナーが提案し、そして実現したのだ。あの震災・津波で多くの尊い命が失われたことを忘れないでほしいと、ハンカチは地元の店のみで販売されており、その収益は、震災や交通事故の遺児などに送られているとのこと。12年前にこの話を知った私は、ようやくこの地を再訪し、このハンカチを手に入れることができた。白亜の灯台が、ひときわ眩しく見えた。


姫花さんの絵が描かれたハンカチ
姫花さんの絵が描かれたハンカチ

12:10〜12:40 いわき震災伝承みらい館

 薄磯海岸に入って国道沿いに建つ「いわき震災伝承みらい館」を訪れる。ここは、いわき市における震災の記憶と教訓を未来へ伝えるための施設だそうだ。映像や遺品の展示を前にすると、津波の猛威が現実のものとして迫ってくる。静かな館内で、足取りは自然と重くなった。

事前に予約すれば、震災語り部から講話を聴くことができるが、あらかじめ時間を正確に決められないトレッキングだったので、予約しなかった。しかし、この施設で働いている職員の方は地元の方なので、質問すれば地域の体験を聞くことができた。


いわき震災伝承みらい館
いわき震災伝承みらい館

14:40 磐城舞子橋

 薄磯海岸を過ぎると、長い新舞子海岸が続く。釣り人に声をかけると、銀色に輝く40センチほどのスズキを見せてくれ、「今夜はバター焼きですよ」とうれしそうに話していた。磐城の海は黒潮と寒流の潮目の海で魚が豊富だと言われているが、近年、釣れる魚が変わってきたのだろう。数日前にはカンパチが釣れたそうだ。海の様相もまた、少しずつ変化しているのだろう。


新舞子海岸
新舞子海岸

 それにしても新舞子海岸は長い。歩けども歩けども、いっこうに磐城舞子橋までの距離が縮まらない。しかも水道も自動販売機もない。コンビニもないので食べ物もない。持参した水を節約し、携行食を口にしながら進む。思わぬところで山の経験が役立った。

東舞子橋を渡るとようやく街並みが見えてきた。


いわき七浜海道
いわき七浜海道

15:50 四ツ倉駅

 四ツ倉では、お盆の期間中、鉦と太鼓を打ち鳴らし、独特の節回しで念佛をとなえながら新盆の家々を回る「じゃんがら念佛」というお祭りが伝わる。これは、四ツ倉出身の名僧「祐天上人」に由来するとされ、いまも、代々の地区の青年によって継承されている。


駅前のじゃんがら念佛踊り記念パネル
駅前のじゃんがら念佛踊り記念パネル

 「祐天上人」は当時江戸で最も人気の高い僧であり、増上寺法主となり大僧正に任じられた名僧で、現在、祐天寺に安置されていることを、恥ずかしながら今回初めて知った。

電車まで時間があったので、近くのスーパーに行き、お弁当を買って、店内に設けられたテーブルで遅い昼食を摂った。


今回のゴール 四ツ倉駅
今回のゴール 四ツ倉駅

活動記録

活動時間

08:30~15:50

歩行距離

24.4km

​今日の1句
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