top of page

ふくしま浜街道トレイル⑤

ふくしま浜街道トレイルは2023年9月30日に開通した福島県新地町からいわき市までの約200kmを1本に繋ぐロングトレイル。

雄大な海を眺めながら、阿武隈山系に育まれた豊かな自然や地域の歴史、文化に触れることができます。また、東日本大震災や原発事故を永く語り継ぎ、見届けていく「伝承の道」でもあります。

当協会の佐藤理事が全行程を数回に分けて歩く、セクショントレッキングを実施。

俳人でもある佐藤理事の一句もお届けします。


Vol.2の2日目はJヴィレッジから富岡駅までをトレッキング。

2025年1月22日

Vol.2 Day2

1-5.jpg
レポート

 早朝、展望風呂に身を沈めたが、空は厚い雲に覆われていた。広野町が誇る「日本一の朝日」は次の機会に預けることにする。

朝食を済ませ、身支度を整え、9時ちょうどにJヴィレッジを出発した。


9:00 トレッキングスタート

 木戸川までの道は標高が低く、広々とした平野が続く。海側には防潮堤が築かれているが、防災緑地は見当たらない。松の若木が整然と植えられ、冬枯れの風景の中に生き生きとした緑の絵を描いている。川面には白鳥が静かに浮かび、羽を休めていた。平野の一角には、さつまいもの生産拠点が新たに設けられている。その一方でかつて設置されていた太陽光発電施設は事業を停止しているようだった。復興の歩みは、試行錯誤を重ねながら続いていると感じる。

 やがて岸辺近くに再建された津之神社に立ち寄る。社殿は新しく、凛とした佇まいである。傍には、この地域から他の地域に移住せざるを得なかった人々の心情を刻んだ石碑も建立されていた。言葉の一つひとつが胸に迫り、思わず目頭が熱くなった。


津之神社
津之神社

 北田天満宮のある天神岬へ向かう。天満宮へは車道から離れ、登山道のような岬の急坂を登る。木立に包まれた山道は、いつものトレッキングしているような錯覚に陥る。


北田天満宮と天満宮からの景��色
北田天満宮と天満宮からの景色

 岬の展望台に立つと、今歩いてきた国道が帯のように延び、その盛り土自体が防潮堤の役割をなしていることが一目で分かる。海岸線には消波ブロック、防潮堤、そしてかさ上げされた国道による複合的な津波対策をとっていることが俯瞰できる。

 岬を下りると、やがて福島第二原子力発電所が見えてきた。

ここから陸側に迂回したルートとなる。突然、携帯電話がうなり声を上げながら緊急速報を受信する。「福島第一原子力発電所一号機で重大な事故が発生しました。住民の皆さんは避難を開始してください。・・・・・・福島県楢葉町」驚いたが、落ち着いて画面をよく見ると。「訓練」と書かれていた。今でもこのような訓練メールが入ってくる現実に、複雑な思いがよぎる。早々に第二原発を離れ、富岡町へ向かう。


福島第二原子力発電所
福島第二原子力発電所

 やがて富岡町に入った。移住した人が多いのだろう。町には空き地が目立つ。銀行や信用金庫の建物も静かに扉を閉ざし、人影もまばらだ。しかしその一方で、JR富岡駅近くに「とみおかワイナリー」を2025年5月にオープンさせる予定だという。希望の芽が、確かに育ち始めている。

 トレイルを外れ、東京電力廃炉資料館を訪れた。館内では原子力発電の仕組みが紹介され、今回の原発事故の概要、その事故の原因、過失の連鎖、反省と決意が分かり易く展示されている。溶融した核燃料、デブリの模型もあり、事故の深刻さを改めて実感する。去年11月には、デブリの試験的取り出しに成功したという報道があったが、その量はごく僅かで、本格的な取り出しは2037年以降とされている。廃炉への道のりの長さを思わずにはいられない。機会があればぜひ多くの方に見学していただきたい施設だ。


扉を閉ざした銀行と東京電力廃炉資料館
扉を閉ざした銀行と東京電力廃炉資料館

16:30 再び富岡駅に戻り、この日の歩みを終えた。

 駅近くには富岡町東日本大震災の慰霊之碑が建立されている。この高台に立ち、日の沈む中、これまで歩いてきた海岸線と、そこに積み重ねられてきた人々の気持ちに思いを馳せた。


富岡町東日本大震災の慰霊之碑
富岡町東日本大震災の慰霊之碑

17:00 富岡ホテル泊



【宿情報】

名称 富岡ホテル

住所 〒979-1123 福島県双葉郡富岡町駅前27

TEL 0240-22-1180

活動記録

活動時間

09:00〜16:30

歩行距離

18.8km

​今日の1句
bottom of page