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【レポート】湿原と魔女の瞳が待つ『一切経山』

更新日:2023年11月21日

 日本百名山の吾妻連峰の東部分を浄土平を起点に一切経山と吾妻小富士を歩いてきた。

 高湯温泉に泊まり。翌朝、宿の車で兎平駐車場に送ってもらう。車窓から見た浄土平は箱根の大涌谷を思わせる観光地である。

 スタート地ですでに1600m。登山道の木道に乗るといきなり目の前に噴煙を上げる一切経山の荒涼とした光景に圧倒される。

 酸ヶ平までしばし高度を上げるがそれも少し。酸ヶ平湿原の分岐から山頂までの道は活火山らしい硫黄臭でたびたびむせる。常に頭上にジェット機が飛んでいるようなゴーという音が聞こえてくるが、それは稜線の向こう側の噴火口から蒸気が上がる音だと気づく。ここは活火山なのだと気を引き締める。一切経といえば山頂から見下ろす五色沼がコバルトブルーに見えて近年"魔女の瞳"と呼ばれるようになり観光の目玉になっている。皆、空海が一切経を埋めたという山頂脇の小山よりもコバルトブルーの瞳に出会いたいらしい。しかし雲がなかなか切れず魔女の瞳に出会えたのは、ほんの少し早く山頂の縁に立てた四人だけ。しばらく待ったが小雨が降り出して諦め下山。

 下りは火口湖の鎌沼を経由し姥ヶ原湿原を通り浄土平へ。晴天は望めなかったものの鎌沼では霧が佇む幻想的な光景に出会う。道々、秋のエゾリンドウやアキノキリンソウ、ヤマハハコなどの花に出会い下界の猛暑を忘れ秋の訪れを感じた。しかし、湿原のなかにススキがだいぶ繁殖していて乾燥化が進んでいるように感じた。

 浄土平レストハウスで観光客に混じり昼食をとり。再び、吾妻小富士に出発。と言っても山頂部のお鉢巡りを入れて1時間ほど。観光客がスニーカーで登っているくらいだ。お鉢の一角に乗っこして周りを見ると、まるで富士山の剣ヶ峰を思わせるお鉢の斜面に一瞬躊躇する。が、歩いてみると案外楽勝。晴れていれば福島市街が見下ろせるとメンバーの中の福島県人が教えてくれる。

 今回は高湯温泉あったか湯で下山後の汗を流した。福島の山行の後の恒例で硫黄分たっぷりの温泉に浸かり。帰りの電車でその匂いで山を思い出しながら帰宅するという結びとなった。

 いつもより遠く福島でのイベント。昼過ぎ集合の一泊の山行は危険なところや体力的に大変なところも無いのんびりした山旅だった。集合するまで在来線の各駅停車に6時間も乗ったり、早く福島入りしてお目当ての名物を食したり。後泊してもう一山登ったり観光したり。メンバー夫々カスタマイズして自由度のきくイベントだったと思う。





2023年8月26日(土)〜27日(日) 一切経山

文・西岡(理事)

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