こもってばかりではない

天狗岳からの雪の急勾配
今年は一昨年のアパラチアン・トレイルの本の執筆にあてるため、大きな仕事はあまりいれていないのですが、いくつかお知らせです。
今年はバックパックのグレゴリー社創立30周年にあたります。それを記念して、A&Fがムック本「グレゴリーブック」を刊行しました。60年代後半から日本に入ってきたアメリカのアウトドア文化のなかの、とりわけバックパッキングへの想いが強い方にとっては、ノスタルジーを喚起させるようなすばらしい雰囲気の本です。書店で売られていますので、ご覧になってみてください。ちなみにぼく自身のインタビュー記事が10ページにわたって掲載されています。
また、今月30日には、ヤマケイJOYの夏号が刊行されます。テント特集で、昨年大雪山で取材をしたぼくの記事が掲載されます。星野秀樹氏の美しい写真とともに大雪山の夏を追体験してください。とはいえ、じつは、めちゃくちゃ天気の悪いロケでした。
ちっちゃな記事ですが、今でているビーパル6月号の目次コラム「Now and Then」はぼくの過去と現在です。さらに、ビーパルでは7月発売の8月号から3号続けてぼくの短期連載も掲載されますので、お楽しみに。
トレイルランナー必見の雑誌「Adventure Sports」の本年度版が数日前に刊行されました。そのなかで、トレイルランナーではないぼくが、石川弘樹氏と対談しています。人気がうなぎ登りのトレイルランニングですが、旧来のハイカーや自然との共生をいかにじょうずにやっていくかというテーマで、とてもレベルの高いものになっています。
本書きで、書斎に沈んでばかりのぼくですが、とりあえずこんな近況です。
ヘッドの写真は5月12日から一泊二日で仲間と北八つを歩いたときのものです。黒百合ヒュッテにテントを張り、ピラタスまでのちょっとした縦走です。積雪が少なかったこの冬ですが、八ヶ岳に関しては残雪がまだまだ多く、陽の当たらない樹林帯ではところどころ腰まではまってしまうほどの深さでした。初日の天気はよかったのですが、翌日は雨こそふらなかったものの、夜中から烈風が吹き荒れ、翌日山稜を歩く間、身体を浮き上がらせてしまうような西風が容赦なくたたきつけてきました。数枚の写真だけで、雰囲気をお届けします。

黒百合ヒュッテで残雪キャンプ

ズボッ、ズボッ!

北八つ名うての亜高山針葉樹林も、まだ雪のなか

縞枯山の、これぞ縞枯れ
西表島縦走
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浦内川のオヒルギ(マングローブの一種類)

西表島の亜熱帯雨林

こんな密林デス

一本の木にあらゆる植物がからみ着生し共存する
3月、4月と、けっこうあちこちでかけているのに、なにも書かず45日。こんなにサボってしまいました。いつもいつも言い訳ばかりで、ごめんなさい。
ゴールデンウィーク直前に西表島を友人でクライマーの田口克己さんとふたりで縦走してきました。ぼくにとっては2回目の縦走ですが、彼ははじめてです。島の北東から南西にかけて、亜熱帯ジャングルの縦走です。浦内川からフェリーで20分ほど遡り、そこからスタート。マリュードの滝、カンピレーの滝を経由して、浦内川の源流部まで歩き、分水嶺を越えると仲間川水系。最後は8キロの林道歩きで大浦の集落に抜けます。クワズイモ、オオタニワタリなど、観葉植物としておなじみの植物やヒカゲヘゴ、サキシマスオウ、アダンなどの亜熱帯特有の木々が繁茂する密林を、小さなアップダウンをいやというほど繰り返します。途中、テントで一泊します。
一般の登山とはまったく趣きの違った山歩き。どちらかというと、登山というよりは探検行のイメージです。ぼくはこんな旅が大好きです。でも、クライマーとして、岩登りや冬山の突き抜けた荘厳な景観を楽しむ田口さんにとっては、結構辛かったようです。亜熱帯の密林歩きのため、湿気との勝負。汗だくだくになり、さらに、ヒルの大群が待っています。
亜熱帯の森の、夜の生き物たちの饗宴は、ヤエヤマホタルの乱舞にはじまり、鳥、虫、動物たちの声が飛び交い、”すさまじい”という表現が大げさではないほどに、すさまじいものでした。

森閑という表現は、亜熱帯の密林では通用しない

ヒルに10ヶ所以上食いつかれ、血を吸われた
ぼくがはじめて本格的にロングトレールを歩いたのは1971年にニューギニア探検をしたとき。熱帯雨林を200キロ。一週間かけて歩き、4ヶ月ほど原住民の集落に滞在。帰りも同じ距離を歩いてもどるという経験。これが、ぼくのすべての原点です。
西表島の密林はニューギニアと比べれば、ずっと楽なコースですが、それでも、日本で唯一と言っていいジャングル歩きが堪能できる、お奨めのコース。ただ、雨の後など、何度も渡渉する川は増水し、さらには、濡れた岩がとても滑りやすく、それなりの危険が伴います。あ、そうそう、それ以上に緊張するのは、サキシマハブが生息していることです。登り下りには両手を使わねばならない個所が多く、その都度、岩陰などにハブが潜んでいないか、確認しながら歩かねばなりません。

サキシマスオウの板根に阻まれるながら歩く田口さん

ヒカゲヘゴ

オオタニワタリ

クワズイモ

サキシマツツジ

幻の花といわれ、南国の山の奥の奥にしか咲かないセイシカ(聖紫花)の花がひっそりと落ちていた

コンロンカ(崑崙花)
ぼくは樹木や花が好きな上、蝶が大好きです。小学校高学年のころから、ひとりで捕虫網を持って奥秩父や奥多摩の山を駆け巡ったほどなのです。ぼくにとっての沖縄列島の、とりわけ西表島の最大の魅力は、蝶です。この地方特有の蝶がたくさん生息しています。
ただ、蝶はなかなか写真が撮れません。じっくりと、それのみを目的にすれば撮れるのでしょうが、今回は縦走目的ということで、あまりいい写真が撮れませんでした。イシガキチョウの群れが水辺で吸水していたのですが、近づくと逃げられてしまいました。ぼくの最も好きなアオスジアゲハも撮るチャンスを逃しました。

カバマダラ

アサギマダラ

オオゴマダラ

クロアゲハ

