ブルーグラス・フェスティバル
前回ブログ更新してから、ずいぶんと時間がたってしまった。今、テネシー州のErwinという山間ののどかな町に下りて、これを書いている。久しぶりの高速インターネット環境だ。前回書いてから、天候に左右されて、予定をさらに2日遅れてここに到着した。途中、雪に見舞われ2日間テントに閉じ込められ、びしょびしょの雨が何日も降り続き、そういった天候は予測内にもかかわらず、やはり心身ともにずぶ濡れ状態の日々が続いた。風景もなにもない。ただひたすら歩く。結果、ここ数日、毎日のように一日30キロを越える歩きとなって、ようやくここにたどりついた。
ただ、iBepalでも書いたのだが、札幌在住で、一昨年ジョン・ミューア・トレイルを歩き、昨年、なんとパシフィック・クレスト・トレイル4200キロという、メキシコ国境からカナダ国境まで続くロングトレイルを5ヶ月で完全踏破した北海道の清水秀一さん(39)が、10日前にぼくに追いついたのだ。原稿を書くために何度も山を下りている間に、一週間後に出発した清水さんは、一日30キロから38キロを超える距離を歩き続けていたのだ。ぼくは基本的に一日8時間から9時間半ほどの労働なのだが、彼は12時間労働の日々が続く。清水さんのことはiBepalにいろいろ書いたので、お楽しみに。
ここErwinは、ぼくの好きな町だ。ここは3度ほど訪れた。周りを美しい山に囲まれたのどかな田園風景のなか、整然とした町並みが魅力的だ。教会が多く、伝統的なバーン(納屋)が緑のなかに溶け込んで、牧歌的な雰囲気をかもし出している。アパラチアン・トレイルはこの町のはずれを通過する。バックパッカーの多くは、この町で一日滞在し、シャワーを浴び、洗濯をし、栄養とこれからの食料補給をする。町の人々はATを歩くバックパッカーに好意的で、簡単にヒッチハイクもできる。ただ、バックパックを背負って歩いているだけで、停まってくれ、乗せてくれたりする。

こんな田園風景のカバーブリッジを渡ってブルーグラス会場へ
できれな、こんな町で数日間を過ごしたいと、だれしもが思う。というぼくは、じつは二日間滞在することになってしまった。またしても、予定外の停滞で、さらに遅れる。4日前、Hot Springs から送った食料を含む荷物が、届いていないのだ。食料はここで調達すればなんとかなるが、大事な資料とカメラの交換電池が入っているのだ。カメラは昨日、ほぼバッテリー切れの状況で、このまま出発すれば、向こう10日間ほど写真が撮れない。
ところでぼくは、なんとラッキーなのだろうか。またしても、これはトレイルマジックだ。
昨日(4月30日)、Erwinに下りたのが土曜日。期待はしていた。それは、アパラチアン・ミュージック。あるいは、マウンテン・ミュージックともいう。
南部アパラチア山脈に点々とある小さな町の多くが、週末になると伝統的なコンサートをする。お年寄りから子供までがジェネラルストアーやバーン(納屋)などに集まり、フィドル(バイオリン)、バンジョー、マンドリン、ダルシマーなどの楽器を持ち寄って演奏し、その曲にのって、人々がバック・ダンスというステップダンスを踊る。
アメリカには、ブルーグラスという確立された、ステキなジャンルがある。ビル・モンローやラルフ・スタンレー、マック・ワイズマンなど、知る人ぞ知るミュージシャンがいる。ぼくの大好きな素朴な田園的な音楽だ。ただ、白人中心の偏った音楽ジャンルでもある。
このブルーグラスの故郷が、ここ南部アパラチア山脈なのだ。ヨーロッパからの移民がアパラチア山脈に定住し、人々の仕事の合間の娯楽が、アパラチアン・ミュージック、マウンテンミュージックとして、今もここに残る音楽であり、その流れをくむのがブルーグラスなのだ。さらに遡れば、そのルーツはスコッティッシュ・アイリッシュと呼ばれる、スコットランド系アイルランド人の故郷へと通ずる音楽なのだ。この山間の音楽は、そのほかにも、じつは、カントリー、ブルースから、ジャズまで、アメリカの音楽ジャンルに、かなりの影響を与えているのだ。
そのブルーグラスのフェスティバルが、しかも、年に一回の大きなフェスティバルが、ファーム・ミュージアムという伝統的な農場を保存した会場で、ぼくがこうして下りてきたその日に行われたのだ。
ぼくがアパラチアン・トレイルに興味を持ったかなり大きな要素として、アパラチア山脈に残る伝統文化と歴史とがある。ぼくにとってATは、ただ自然だけを目的としたトレイルではないのだ。なかでも、ぼくが最も興味を持っているのがこの音楽文化だ。そのフェスティバルに、まさか歩いているときに参加できるなんて、ぼくはなんとラッキーなのだろうか。

瓢箪はこのあたりの伝統的な作物だ

納屋という会場が、ブルーグラスの雰囲気をよりかもし出してくれる

この少年のBuck dance は地元のチャンピオンだという
ブルーグラスの音楽を楽しくさせるのが、Buck dance と呼ばれるステップダンスだ。Buckとは雄シカのことだ。独特のステップで人々が踊るその姿は、外見単純、素朴なようで、人々の生活の喜怒哀楽が現れていて、感動的なステップダンスなのだ。何度か、他の町のジャンボリーにも参加して、こういった雰囲気の虜になったぼくは、そのステップの基本を知りたかった。それが、今回できた。
町に下りてきた数人のバックパッカーも、このフェスティバルに参加し、そのステップを教わったが、You got it!! (そうだ、その調子!)と言われたのはぼくだけだった。やった!
というわけで、きょうは、そのフェスティバルの写真をお届けした。
この後、おそらく10日以上、インターネット環境が整わないため、ブログ更新は難しいかもしれないが、どうぞこれからも、ご期待を!
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Jack-a-roo

