3日スタート!
食料のほか、重要な書類まで紛失。時間がたつにつれ、ショックは悔しさと怒りに変わってきた。その症状がひどくなり、ほとんど一睡もできない夜もあった。それでも、気を取り直し、気持ちを前向きにきりかえ、食糧調達をし、昨日、ようやく20を越えるパッケージ詰めが終了、パッキングもすんだ。想定どおり機材一式を含めて25キロ以内に抑えることができた。ただ、後半(7月以降)の食料は、時間がないなか、かなり大雑把に集めたことによって、ばらつきがある上、相当量、足りない。それらは、なんとか時間を作って、それぞれのトレイルアウト先で調達することにする。

Adams Family
Adams house. Joe built this house in the Appalachia mountain slope.
セクション別に用意していたガイド&マップセットも、その80パーセントが紛失しまっていた。これに関しても、ふたつのセクションを除いて、なんとかそろえることができた。足りないものについては、ジョーが急いでインターネットで買い、食料といっしょに、必要なセクションに送ってくれることになった。
天気は、ひどい。アトランタに到着して以来、一週間になるのだが、晴れたのは2日間だけ。雷雨が4日もあり、そんな天候のなかを歩くのかと思うと、ちょっと腰がひける。当初の1日に出発していたら、恐ろしいほどの雷と強雨のなかを歩いていたことになり、延期してよかったんだと、思った。ただ、甘くはない。なにしろ、アパラチア南部は雨が多いところなのだ。
ジョーの家族を紹介しよう。ファミリーネームはアダムス。そう、Adams family だ。
ジョーは5人家族。Family name は Adams 。そう、Adams Family なのだ。Joseph(Joe), 妻のSayuri, 長女 Salah(星良セーラ6歳), Etowah(英登和エト5歳, Selu(世瑠ルー4歳)。素敵な家族だ。JoeがAETのプログラムで交換教師として1990年から6年ほど、北海道、千葉、山梨に住んだ。そのときの関係で、小百合さんと結婚。そして、このDahlonegaに住む。町から車で10分ほどの山中のスロープに自ら家を建て、今はフリーのカーペンターとして、生計を立てている。ワイルドで質素な作りの家で、まだまだこれから手を加える夢を持っている。小百合さんに言わせると、「外での仕事(大工仕事)は一生懸命やるが、なかなか自分の家に手をつけてくれない」。
子供たちは笑顔がとても可愛い。素直に育ち、しかもどの子も好奇心旺盛で、表現力が豊かだ。積極的にお母さんの仕事を手伝う。
Joeのことはご存知の方もいるはず。じつは、2年ほど前、NHKのBSで放送されたトレッキング女優シリーズで、本上まなみがアパラチアン・トレイル最北端を歩いたときのガイド役として登場している。ぼくが彼と知り合ったのは、その関係から。番組の製作会社から、アパラチアン・トレイルに関するアドヴァイスを依頼されたのがきっかけで、後日彼がわが家に遊びに来たことがあるのだ。
アパラチアン・トレイルを歩こうと心に決めていたぼくにとって、彼の存在は、とても大きなものになった。彼らは、ぼくのトレイルエンジェルなのだ。
こういう人々のことを、アパラチアン・トレイルを歩くバックパッカーたちはそう呼ぶ。かつて、何度かセクションを歩いたぼくも、彼以外のトレイルエンジェルに何度となく助けられた。歩く過程のなかで、おそらく、さまざまなトレイルエンジェルのストーリーがあるはずだ。ぼく自身、それを楽しみにしている。

